乙女ゲームオタクな私が妹の婚約者と結婚します!
第42話 契約書の実行
「滝に行けませんでした……」
どういうことですか?
これは?
パンフレットを握りしめ、じっーと天清さんを恨めしげに見た。
「だから、旅行前に二泊はしないとねって月子に俺は言ったんだよ?」
確かに一泊の旅行と決めたのは私だけど、ずっとイチャイチャしてるとは思いませんでしたよっ!!
せっかく攻略本じゃない、ガイドブックを見て付箋までしたのに。
「天清さん。楽しかったみたいですね」
「楽しかったよー」
「それはよろしかった」
車で迎えに来てくれた遠堂さんはにっこりと微笑んだ。
遠堂さんは天清さんが満足したら、それでよし!そう思っているらしく、機嫌良く運転していた。
こ、このふたりはっ!
「あの、詩理さんにお土産を買ったので、遠堂さんから渡してもらってもいいですか?おまんじゅうなので、期限があって」
それを理由に二人を引き合わせよう作戦ですよ。
わかりますか?
この高度な知謀戦術。
私もやられっぱなしというわけじゃないんですよ。
これでこの二人を出し抜いたかっこうになりましたね―――