乙女ゲームオタクな私が妹の婚約者と結婚します!
「今から新崎に参りますので、直接お渡しできますよ」

「あっ、新崎にっ!?」

思わぬ言葉に私のドヤ顔が一瞬で消えた。

「そうだよ、月子。契約書の条件を満たしたからね」

足を組み、不敵に笑う天清さんは王様のようでこれから始まる出来事を思ってか楽しげだった。
あの途方もない契約書が終わる?

「天清さんは新崎総裁より稼いだってことですか?」

いったいどうやって?と首を傾げていると天清さんが唇に指をあてた。

「まだ月子には内緒だよ」

私を驚かせたいからと言ってたけど―――すでに驚いている。
次はなにをやらかすの?
ドキドキを通り越し、ハラハラした。
私が二人を出し抜く?
どうやら、出し抜かれたのは私の方みたいだった。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


ドドドン、ドン。
頭の中では太鼓が鳴り響いていた。
それプラス脳内で戦国武将達が『合戦じゃー!』『であえー!であえぃ!』と騒いでいる。
並んだ面々は新崎のご両親と親戚、詩理さんと遠堂さん、天清さんと私。
弟さんは戻らず仕舞いだとか。
両親どころか、親戚まで弟さんの行方を誰も聞かなかった。
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