乙女ゲームオタクな私が妹の婚約者と結婚します!
野宿になれてるって言ったのもバックパッカー姿で現れたのもずっと鉱脈を探していたから―――それもすべて父親から自由になるため。

「産地国の許可と共同出資の相手との採掘企業の開業手続きの書類だ」

「お前を甘く見すぎていたか」

悔しそうに顔を歪ませ、書類をパサッとテーブルの上に投げた。
まるで降参だ、というように。

「やっぱりお前だったか。出し抜く奴は」

「俺をずっと新崎に繋ぐために楠野に婿に出したんだろうけど、誤算だったようだね」

ふっと小さく新崎総裁は笑った。

「そうでもない。どっちみち、お前が新崎の新しいトップになるわけだからな」

「それはどうかな。一番上に立つってことは俺の判断でなんでもできるってことだよね!」

天清さんはいつもの無邪気な笑みを見せた。

「なんだと?それはどういう意味だ?」

「父さん、契約がすべてだったよね?新崎グループから手を引き、隠居してもらうよ。あ、そうだ。隠居したら、退屈だろうからさ」

これをあげるよ、と天清さんが父親に渡したのは私と行った温泉旅館の宿泊割引券だった―――
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