乙女ゲームオタクな私が妹の婚約者と結婚します!
第43話 社長交代
立ち去った父親を天清さんは見送り、居並ぶ親戚の前ではっきりと宣言した。
「今をもって新崎の総裁は俺となった」
ドキッとした。
天清さんが新崎の頂点になったということはもう楠野には戻らない―――そういうことだろう。
新崎天清に戻るなら、私とは離婚?
「おめでとうございます!」
「天清さん、やっとこの日がきましたね」
お祝いの言葉を親戚の人達からかけられている天清さんが遠くに感じた。
その中で私だけがお祝いの言葉を言えずにいた。
そして、天清さんのお母さんも。
「母さん、これで自由だよ」
人形のように白い顔をした天清さんのお母さんはぼんやりと天清さんを見上げた。
「もう好きなところに行ってもいいし、なにをしてもいいんだ」
「天清さん、お嬢様はわたくしが預かりますので」
そっと遠慮がちに出てきたのは年老いたお手伝いさんだった。
「―――うん。すべて母さんのいいようにしてあげてくれ」
「はい」
天清さんは悲しい目をしていた。
自分の姿も娘の姿も見ない母を見送っていた。
「今をもって新崎の総裁は俺となった」
ドキッとした。
天清さんが新崎の頂点になったということはもう楠野には戻らない―――そういうことだろう。
新崎天清に戻るなら、私とは離婚?
「おめでとうございます!」
「天清さん、やっとこの日がきましたね」
お祝いの言葉を親戚の人達からかけられている天清さんが遠くに感じた。
その中で私だけがお祝いの言葉を言えずにいた。
そして、天清さんのお母さんも。
「母さん、これで自由だよ」
人形のように白い顔をした天清さんのお母さんはぼんやりと天清さんを見上げた。
「もう好きなところに行ってもいいし、なにをしてもいいんだ」
「天清さん、お嬢様はわたくしが預かりますので」
そっと遠慮がちに出てきたのは年老いたお手伝いさんだった。
「―――うん。すべて母さんのいいようにしてあげてくれ」
「はい」
天清さんは悲しい目をしていた。
自分の姿も娘の姿も見ない母を見送っていた。