乙女ゲームオタクな私が妹の婚約者と結婚します!
「後、元旦那だっけ?あの人も見る目がなくて可哀想な人だったよね。君と別れたことを社内で噂で流したんだ。『奥さんに浮気されて、離婚届を渡された可哀想な人』としてね。もちろん、奥さんの君は悪役として登場。同情した同じ会社に働く人達は君より素敵な人を勧める」

言葉がでなかった。
なに、この人は。

「おかしいと思わないと。こんな早く恋人が見つかって、君を見限るなんておかしいってね」

にこっと天清さんは微笑んだ。
無邪気に見えるけど、腹の中では何を思っているか―――

「君と新崎の父が手を結ぶのもわかっていた。あのお嬢様の中では一番、性格が悪くて図太そうで父と話せそうなのは君くらいだった」

「案の定でしたね」

「そ、それじゃあ、全部、罠だったの?私が家から追い出されたのは」

「違うだろ?君が自分から出て行っただけだ。俺達はほんの少しだけ背中を押しただけだ」

「予想を裏切らない展開に退屈すら感じましたよ」

呆れたような口調に私はキッと睨みつけた。

「おっと、遠堂は今じゃ新崎の総裁だぞ?敵に回さないほうがいい」
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