乙女ゲームオタクな私が妹の婚約者と結婚します!
最後にちらりと見えた顔は真っ赤で怒りを抑えているような顔をしていた。
―――天清さんが嫌がらせをされなきゃいいけれど。
そう私は思ったけど、人の心配をしている場合ではなかったことにまだ気づいていなかった。
この時、私は生まれて初めて人から妹じゃなくて、私がいいと言ってくれたことが嬉しくて浮かれていた。
逃げるべきだったのに。
響子がなにか気に入らないことがあった時、私に嫌がらせをすることをすっかり忘れて、何度も天清さんの『月子でよかった』という言葉を頭の中で繰り返していた―――馬鹿みたいに。
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