乙女ゲームオタクな私が妹の婚約者と結婚します!
「へぇー、かわいいね。その風呂敷は和紙?」

「そうです。エコにも力を入れている『楠野屋』はプラスチックを減らすようにしてますから」

「季節によって、この風呂敷の模様や色を変えたらいいかもな。春は桜やチューリップ柄、夏は花火、朝顔、金魚ってかんじにすれば、飽きがこない」

「いいですね!」

おしゃれな人じゃないと思いつかない発想だった。
さすが、天清さん。
―――って、私、何を馴染んでいるんだろう。
まだそんなに知らない相手なのにぺらぺらと喋ってしまったような気がする。

「試作品を作りたいな。明日から、作ってみようか」

「は、はい」

天清さんには壁がない。
それと、私を見下したように見てないし、対等でいてくれる。
頭の回転も速いし、話しやすくて、ついついなんでも話してしまう。
なんて不思議な人だろう。

「ほら、月子。あーん」

箸で卵焼きをつまんで私の口にいれようとしたのを手で制した。
きっぱりと。

「それはしません」

「えー!!しようよ!!」

「お断りします」

どさくさに紛れて、なにをさせようとしているのだろうか。
この人は。
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