乙女ゲームオタクな私が妹の婚約者と結婚します!
上品な味の煮しめやだし巻き卵にうっとりしながら、いそいそと食べていると、食べ終わった天清さんが私の企画書を眺めていた。

「月子。ちゃんと名前いれよう、ここに」

そういうと天清さんは『楠野月子』と発案者の所に名前を入れた。
名前を書かないといけないことを初めて知った。

「あの」

「うん、これでよし!」

ソファーにごろんと寝転がり、にこっと天清さんは微笑んだ。
まさか、このためにソファーを?

「いえ、全然よくありません」

「夫婦なんだから、これくらい当り前だよ!」

世にいう膝枕といいうのをしていた。
私が。
こんなのゲーム内でしかしたことないよおおお!!!
信じられないことに天清さんは書類を眺めがら、私の膝に頭を置いている。
イベントスチル【彼に膝枕】と、頭に浮かんだ。
いやいやいやいや!?そうじゃなく!
現実に戻って、私!
別々のソファーに座ろうとしたのに隣においでと言われて座ったのは罠だったのだと今、気がついた。
こっ、この人、策士じゃ!?
人畜無害な顔をして危険すぎるっ!!!

「あー、最高だねー!」

寝転んだ天清さんの手が私の頬にふれたその時、バンッとドアが開いた。
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