乙女ゲームオタクな私が妹の婚約者と結婚します!
「……なんの取引かな」

天清さんはまぁ、いいやと言いながら手に持っていた箱をチラつかせた。

「そ、それはっっっ!」

パァーンッと押入れの戸を勢いよく開けた。

「『ときラブ』特装版!店頭販売のみのパッケージ!」

私が手に入れるのを泣く泣く諦めたやつ!
店の前に並ぶのも人混みも苦手だし、悲しい気持ちで見送った特装版。

「欲しくないかなー、これ」

サッと天清さんが私の目の前から奪った。
ちらりとみえたパッケージには私の推しキャラ鷹影(たかかげ)龍空(りく)様が見えた気がする。
しかも、ゲーム内の夏服バージョン。
レア中のレアタイプでデートの時にしか着てこない服装だった。
この私が見間違えるわけがない。

「欲しいです……けど……」

「じゃあ、添い寝」

「……ぐっ」

「そうじゃないと、あげれないなー」

「いいですよ……ネットでまた探しますから」

「これ、新品だよ?」

新品!?
どうやって手に入れたの?と天清さんを見た。
勝ち誇った顔をしている。
いや、そんな顔をするのは当然の事。
なんせ、このパッケージはあまり出回っていない。
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