乙女ゲームオタクな私が妹の婚約者と結婚します!
なんでもやるっていうから、結婚してあげたのに。

「私に水仕事をしろってこと!?」

「そうじゃなく、散らかしたら散らかしたままだろう?仕事で疲れて帰ってきて、散らかった部屋を見るのが嫌なんだ」

「家政婦にやらせなさいよ」

「僕の給料じゃ家政婦さんを雇うのは無理だよ」

わざとらしく、公康さんはため息をついた。
結婚したら、家政婦扱いって本当ね。
こんな男はお断りよ!
いっそ天清さんを次の旦那にしようかしら?
親が建ててくれた家も手に入るし、お手伝いさんもいるだろうし。
天清さんが望んで私を選んだなら、それは仕方ないことよね?

「響子ちゃん。作っておいたサラダ食べなかった?お菓子ばかりじゃ体に悪いよ」

冷蔵庫を開け、口うるさく公康さんは言ってきたのを無視した。
肩を落として公康さんがキッチンで片付けているのが目に入ったけど、知らん顔してテレビの画面を見た。
頭の中にはテレビの内容なんて、全然入ってこない。

あのひきこもりの月子が住む場所も旦那も奪われたら、どうなると思う?
ボロボロになるでしょうね。
何もかも奪われた月子がどんな顔をするか楽しみだわ。
冷蔵庫から新しいビールを取り出して、一口飲んだ。
そうね。月子。
今は幸せを味わっておくといいわ。
その方が奪う楽しみがあるもの。ね。月子?
< 52 / 214 >

この作品をシェア

pagetop