乙女ゲームオタクな私が妹の婚約者と結婚します!
私の名前はどこにもなく、全部、妹の名前になっていた。
新メニューもフェアも―――書類をばさばさとめくっていくけど、私の名前はない。

「こ、これ、なんで?」

「落ち着いて、月子。きっと月子が考えたんじゃないかなって俺は思ったんだ。だから、確認するためにコピーして持ってきた」

「私ですっ!」

「響子さんが仕事をしている姿はないし、おかしいなって思ったんだ」

「……そんな」

悲しい気持ちで今までの企画の数々を眺めた。

「これからは俺がいるから大丈夫だよ、月子」

にっこりと天清さんは微笑んでくれたけど、あまりのショックに返事すらできなかった。
そして、天清さんに手を握られていることに気づくのは五分後のことになる―――
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