乙女ゲームオタクな私が妹の婚約者と結婚します!
王子キャラは難しいって言ってたけれど、私に手を差し出した天清さんは王子様に見えた。
迷うことなく手をとれた私もきっと少しは成長しているのかも―――なんて、思いながら。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
―――成長?
誰ですか?
そんなことを言ったのは。
私にそんなもの何もなかった。
人混みの中でそう確信した。
休日とあって人通りの多い道、ずらりと並んだブランド店は混み合って、レストランは行列。
慣れない人混みは私にはレベルが高すぎて、さっきからドンッと人にぶつかってばかりいた。
「ひえっ!」
またぶつかりそうになり、天清さんが手でかばってくれた。
パンプスのヒールが高く、よろよろしているのも悪いのかもしれない。
もたもたしている私に気づき、天清さんは足を止めた。
「月子。大丈夫?」
「は、はい」
本当は大丈夫なんかじゃなかった。
うまく歩けないし、足は痛いし、天清さんに迷惑かけるし―――今の心境としては押し入れに逃げ込んで泣きたい。
なんて情けないのだろう。
こんなんじゃダメ!
懸命にくじけかけた気持ちを奮い立たせた。
「へ、平気です!行きましょう!」
迷うことなく手をとれた私もきっと少しは成長しているのかも―――なんて、思いながら。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
―――成長?
誰ですか?
そんなことを言ったのは。
私にそんなもの何もなかった。
人混みの中でそう確信した。
休日とあって人通りの多い道、ずらりと並んだブランド店は混み合って、レストランは行列。
慣れない人混みは私にはレベルが高すぎて、さっきからドンッと人にぶつかってばかりいた。
「ひえっ!」
またぶつかりそうになり、天清さんが手でかばってくれた。
パンプスのヒールが高く、よろよろしているのも悪いのかもしれない。
もたもたしている私に気づき、天清さんは足を止めた。
「月子。大丈夫?」
「は、はい」
本当は大丈夫なんかじゃなかった。
うまく歩けないし、足は痛いし、天清さんに迷惑かけるし―――今の心境としては押し入れに逃げ込んで泣きたい。
なんて情けないのだろう。
こんなんじゃダメ!
懸命にくじけかけた気持ちを奮い立たせた。
「へ、平気です!行きましょう!」