乙女ゲームオタクな私が妹の婚約者と結婚します！

妹の響子は私と違って活発で知らない子達と鬼ごっこをして、叱られている。

「月子を見習いなさい。きちんとしているでしょ」

「はーい」

返事はよかったけど、すぐに響子は他の子達と騒いで注意されたことも忘れてしまっていた。

「綺麗なお嬢さんですね。名前はなんて言うのかしら？」

突然、父と話をしていた人が私に話しかけてきた。
知らない人に声をかけられるのが苦手で、モタモタしていると横から響子が現れ、大きな声で言った。

「私は楠野響子！将来はアイドルかモデルになりたいなって思ってるの！」

「あ、あら。そう、あのね。お姉さんに用があるの。こういうのお姉さんは興味ないかな？」

渡されたのはキッズ向けのファッション雑誌で可愛い服を着た女の子が笑顔で映っている。
ぶんぶんっと首を横に振った。

「そう。残念だわ。楠野社長は娘がいいというならって言ってくれたんだけど」

「ごめんなさい……」

やっとのことで声を出して謝ると仕方ないかとその女の人はいなくなってしまった。

「い、痛っ！」

突然、響子に思い切り足を踏まれた。

「なにするの？」

「月子って嫌な子よね」

私が嫌な子―――？