乙女ゲームオタクな私が妹の婚約者と結婚します!
時々、響子は私に酷いことを言う。
少しずつ心を蝕むように私を暗い方へと落としていくのだ。
今も攻撃的な目で私を見ている。

「月子がお姉ちゃんなんて最悪よ。いい子ぶって親のご機嫌取りはやめてほしいわ」

「そんなつもりはないけど……」

「どうだか」

響子はドンッと体を突き飛ばし、壁際に追い詰めると周りを気にしながら、小さい声で言った。

「月子にモデルなんかできるわけないでしょ?月子の笑った顔って変な顔よ。それに暗い月子のこと、みんな、本当は嫌いなのよ。楠野の娘だから、我慢して付き合ってるだけなんだから」

知らなかった?と笑いながら響子はいなくなった。
変な顔?
響子の方を見ると他の女の子達と笑いながら、こっちを見ていた。
俯き、顔を隠した。
私、変なの?
嫌な子だから、響子はいつも私に意地悪をするの?
他の子は私が嫌い。
ぐるぐると頭の中で響子の言葉が回っていた。
みんな、笑ってる。
私の事を―――!

「わ、私が嫌いなら、そっとしておいて……お願いだから……」

笑い声に追い立てられるように逃げて暗闇を走っていた。
その声が怖くて怖くて、仕方なかった。

「月子!」
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