乙女ゲームオタクな私が妹の婚約者と結婚します!
会議が終わり、主任だけ残されて父と話をすることになった。
当然よね。
悪いことしてたんだし。
でも、天清さんはやっぱり違う。
できる男は私の味方にしておかないと後々面倒だわ。
私が結婚してから、社長の娘という価値が薄れてきてしまっているのもある。
早く天清さんをオトして旦那にしなくちゃ。
このままだと月子が『楠野屋』で存在感をだしてきてしまう。

新崎(あらさき)の会食で月子さんを親戚にお披露目できますか」

「しないといけない。じゃないと、新崎の父は新しい妻を俺にあてがう」

会議室から出て、地下室に向かった私が耳にしたのは地下の廊下で深刻な顔で話す天清さんと遠堂さんだった。
なに?
新しい妻ってどういうことよ?
階段の陰に隠れ、二人の会話を盗み聞きした。

「あいつは俺のことが気に入らなかったから、この結婚を決めただけで相手は誰でもよかったからな。俺が結婚しないなら妹を歳の離れた男に嫁がせると脅して。どこまで卑怯なんだ。あいつは!」

あの飄々とした男がこんな声を荒げることがあるのだと驚いた。
それに雰囲気がいつもと違う。
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