乙女ゲームオタクな私が妹の婚約者と結婚します!
私なんて生まれてから死ぬまで、ずっと『娘』呼ばわりに違いないだろうし。

「月子といると楽しい。それだけで満足だ」

ド直球な言葉にドーンと花火があがったような気がした。
それも特大の花火が。
いつもなら、倒れるようなセリフも今なら平気。
この勢いに乗るというか、自然に口からこぼれていた。

「わ、私もです!天清さんといるとなんでもできるような気がします。だから、離婚したくないんです!」

視線が集まるのも気にならない。
今、しがみついてないと引き離されてしまう。
そんな気がした。

「なるほど」

面白いものを見るかのように私と天清さんを見比べた。

「まともに話もできないくらい暗い女でなんの役にも立たないという噂は嘘だったようだな」

私にそんな噂が―――間違いじゃないから、否定できないのが悲しい。

「別に二人の結婚を認めないとは言わない。条件がある。新崎に利益を与えろ。損はさせるな。そこにいる連中も同じだ」

ざわざわとお嬢様達が騒ぎだした。
まさかそんなことを言われるなんて思ってもみなかったに違いない。
私もびっくりだよ。
なんという資本主義の権化。
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