Kiss Me Kitty! ~年下猫系男子とゆる甘アパート生活~
(この子まさか、こんなところで一晩寝てたの? 引っ越しの音がしなかったのは、なにも持ってきていないから? ……ええい、今はどうでもいいっ)
状況が掴めず混乱するが、とりあえず目の前に転がる急病人に比菜子は迷いなく駆け寄った。
「ツカサくん。ほら、私の部屋連れてってあげるから、がんばって起きて」
ツカサはうずくまったまま首をプルプルと振り、大丈夫だと意思表示をしている。
「言うこと聞いて。ここじゃ治るものも治らないから」
比菜子は強引にツカサの懐に入り込み、腕を持ち上げ、それを肩へ回した。
ツカサの体型は平均的な男子より細身だが、それでも比菜子にとっては、ずっしりと重かった。