Kiss Me Kitty! ~年下猫系男子とゆる甘アパート生活~
出汁の中にご飯を投入し、卵を溶き入れ、しばらくしてから火を止める。
「雑炊作ったから、食べて。何か食べないと薬飲めないから」
「……うん」
(素直じゃん)
ツカサは「テーブル出した方がいい?」と言い、畳んであった簡易テーブルを指差した。
「大丈夫。体だけ起こしといて」
お椀によそった雑炊を盆に乗せて、彼の布団の近くに置き、そのすぐそばに比菜子も座った。
レンゲで少量を掬い、フーフーと息を吹きかけて冷ますと、それをツカサの口もとへ運ぶ。
「ほら、あーんして」
「えっ……いや、いいって」
「いいから。こぼされたら嫌なのよ」
強めにそう言うと、ツカサはしぶしぶ口を開けた。
(……ふふ、なんか可愛い。猫みたい)
彼は長い睫を伏せ気味にし、口の中へレンゲを受け入れる。
傾けられるままひと口食べて、モグモグと口を動かし、喉を鳴らして飲み込んだ。
「……ん、美味い」
普段、料理をしても聞くことのなかった言葉に、比菜子は不覚にもキュンとする。