Kiss Me Kitty! ~年下猫系男子とゆる甘アパート生活~

出汁の中にご飯を投入し、卵を溶き入れ、しばらくしてから火を止める。

「雑炊作ったから、食べて。何か食べないと薬飲めないから」

「……うん」

(素直じゃん)

ツカサは「テーブル出した方がいい?」と言い、畳んであった簡易テーブルを指差した。

「大丈夫。体だけ起こしといて」

お椀によそった雑炊を盆に乗せて、彼の布団の近くに置き、そのすぐそばに比菜子も座った。
レンゲで少量を掬い、フーフーと息を吹きかけて冷ますと、それをツカサの口もとへ運ぶ。

「ほら、あーんして」

「えっ……いや、いいって」

「いいから。こぼされたら嫌なのよ」

強めにそう言うと、ツカサはしぶしぶ口を開けた。

(……ふふ、なんか可愛い。猫みたい)

彼は長い睫を伏せ気味にし、口の中へレンゲを受け入れる。
傾けられるままひと口食べて、モグモグと口を動かし、喉を鳴らして飲み込んだ。

「……ん、美味い」

普段、料理をしても聞くことのなかった言葉に、比菜子は不覚にもキュンとする。
< 29 / 106 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop