Kiss Me Kitty! ~年下猫系男子とゆる甘アパート生活~

ツカサは雑炊を全部食べ、お椀を空にした。起きてから顔色も良くなっており、比菜子はホッと胸を撫で下ろす。

「……ツカサくんさ、どうしてここに引っ越してきたの?」

比菜子は、布団の上で三角座りをするツカサにスポーツドリンクを与えながら、弱っているのをいいことに質問を始める。

(計画性も生活力もないのに見切り発車で部屋だけ契約してくるなんて、普通じゃない。この度を越えた世間知らずも気になるし)

口をつぐんだツカサだが、迷惑をかけている状況で口答えはできないらしく、観念した様子で話し出す。

「……親が会社やってて、跡を継げってうるさいんだ」

「え?」

ツカサは毛布を口もとまで引っ張りあげ、小さくなる。

「俺は無知でなにもできないって決めつけられて。他の会社でやっていけるわけないだろって。……そう言われたら、なんか色々悔しくなってさ。大喧嘩して、髪染めて、しばらくひとりで暮らしてやるって飛び出して……」

(やっぱり。この子ボンボンだったのね)

ゴクリと息を飲む。
ツカサの綺麗な髪やブランドロゴのついたジャージを改めて見て、比菜子は「なるほどねぇ」と声を漏らした。
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