Kiss Me Kitty! ~年下猫系男子とゆる甘アパート生活~
「はーい。おかえり、ツカサくん」
「ただいま。比菜子もおかえり」
朝、別れたときと変わらない姿のツカサが、ドアの前に立っていた。
手には今朝渡した弁当の風呂敷を持っている。
「バイト受かった」
嬉しそうな、照れくさそうな、緩んだ表情で彼は中へ入り、包みから空の弁当箱を出してシンクに沈めながら言った。
「え、本当!? どこ?」
「駅前の『チェリッシュ』っていうカフェ。朝昼か、昼夜のシフトで、明後日からって」
「すごいじゃーん! おめでとう!」
(まだまだ要領が分からないだけで、ツカサくんは接客業向いてると思うな)
比菜子は一日で仕事を見つけてきたツカサを誇らしく思い、同じく顔がほころぶ。
ツカサは弁当箱を洗いながら「すげぇいい匂いする」と鼻をクンクンさせ、ガスコンロに乗っかっていたスープ鍋に目をやると、「美味そう……」とつぶやいた。