Kiss Me Kitty! ~年下猫系男子とゆる甘アパート生活~
「……ツカサくん」
ツカサは顔色の悪い比菜子を見て眉をひそめたが、彼女の正面にいる人物に気づくとパチパチと目を開いた。
「なっ!? 有沙!?」
「ツーくん!」
挑発的だった有沙の声はとびきり甘いものへと変貌し、眉を垂れ下げた少女のような顔つきへと変わる。
「やっと会えたー!」
「なんでここにいるんだよ!」
比菜子を挟んで五メートルほど距離があったツカサに一目散に駆け寄り、「心配してたんだよ!」と抱きついた。
「おわっ! ちょ、オイ! 有沙!」
若いカップルのツーショットに比菜子の胸はまたズキンと痛み、思わず彼らに背を向け、オンボロアパートを前に切なくなった。