Kiss Me Kitty! ~年下猫系男子とゆる甘アパート生活~

「……そう。かわいい子だね」

まだ有沙の腕がツカサに絡んでいるのを見ながら、比菜子は引き吊った笑顔で返した。
有沙は〝当たり前〟とでも言いたげは雰囲気で比菜子の言葉は無視し、ツカサの手を握り直す。

「ツーくん、戻ろうよ」

「おい! 手を繋ぐなって! だいたいお前なんで俺がここにいるって知ってるんだよ!」

「ツーくんのことはなんでも知ってるもん。安心して、まだ誰にも言ってないから」

「本当か!?」

「うん。だから帰ろう。家出したいなら有沙にまかせて。爺やに言って、ツーくんのためのマンションと家政婦を用意してあげる。こんな近所のオバ様にお願いしなくてももう大丈夫だよ」

比菜子はうつむいたまま反論できなかった。有沙の秘かな笑みが向けられているのに気づいたが、なにひとつ太刀打ちできていない自分をみじめに感じて縮こまる。
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