Kiss Me Kitty! ~年下猫系男子とゆる甘アパート生活~
(そうよね……お金持ちのツカサくんが、いつまでも私みたいなのと……)
しかし、ツカサは有沙の手を剥がし、
「それはいらねぇ。俺はここが気に入ってるから」
と比菜子へ一歩近づいた。
(……え?)
驚いて彼を見ると、いたずらな笑みを浮かべて「本当だぞ」とつぶやいている。
「そんな! ツーくん! こんな汚いところはやく出たほうがいいよ! 私が綺麗なマンションを用意してあげるから」
「いらねぇ。それにここは古いだけで汚くねぇぞ。今、自分で暮らせるようにいろいろと──」
「なに言ってるの! ツーくんはなんにもできないでしょ!」
有沙は叫び、その反動でハァハァと息を荒くしている彼女を前に、ツカサは固まった。
彼は一瞬ショックを受けた顔をしたが、有沙相手に決して厳しい顔をすることはなく「まあそうなんだけどさ」と苦笑いをしてみせる。