Kiss Me Kitty! ~年下猫系男子とゆる甘アパート生活~
テーブル席に見覚えのあるキラキラしたお嬢さまが座っており、その横で店員姿のツカサが立って注文を取っていたのだ。
(……有沙ちゃん、だ……)
時折言い合いをしている様子も見えるが、自分が以前ここへ来たときに感じた周囲の女性客たちの視線が、有沙に対してはまったく違うとわかる。
「あれ彼女かな? お似合い」
「すごいかわいい。お人形さんみたい」
聞こえなくともそんな言葉がガラスの外まで漏れてくるようであった。
(……そっか……だからツカサくん、私には来るなって言ったんだ……)
胸の痛みが抑えきれず、キュッとブラウスのボタンあたりを集めて握る。
見ていられずガラスの店先から避難した。
店内から見えない位置まで移動すると力が抜けて前に進むことができなくなり、ヒールの足を止める。
肩が震え、顔を上げることができない。