あやかし戦記 ネバーランドの子どもたち
「ツヤさん、何かあったんですか?」

「実は一週間後に出荷する人間が決まったんだ。名前はフレッド・ジョーンズ」

ツヤの口にした名前にイヅナの目が見開かられる。その名前は夜中に聞いたものだ。

「ギルベルトたちには式神で知らせたから、救出するための戦いは出荷前に始まるだろう。薙刀に長い間触れていないが、戦えそうか?」

悪魔ではなくゴブリンたちとならば、戦闘力があるとは言えないイヅナでも戦える。だがイヅナにとっての問題はそれではない。イヅナは首を縦に頷いた後、ミモザたちのことを話した。

「……ということがありまして、脱獄に誘われたんです」

「断れ。いくら、身体能力が高くても妖を殺した経験がなければここからの脱獄は難しいだろ。あたしたちで確実に助け出すんだ」

「……はい!」

イヅナはポケットに入っている笛に触れる。部外者にアレス騎士団のことは話せないが、ミモザたちに話せることは話してみよう、そう決意した。
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