あやかし戦記 ネバーランドの子どもたち
その日の真夜中、ゴブリンたちの見回りが終わるのを待ち、イヅナは笛を鳴らす。掠れた音が闇に響いた数十秒後、遠くからガチャンと檻の鍵が開く音が聞こえてくる。
そして、イヅナの檻の前にカレンとマチルダ、そしてケフェウスが現れる。カレンの瞳は煌めいていた。
「考えてくれたのね!」
いい答えが返ってくると三人は期待した目でイヅナを見る。その瞳を見るていると、イヅナの口は「協力するわ」と滑りそうになるが、頭にツヤの怒った顔が浮かび、慌てて深呼吸をした。
「一晩、ゆっくり考えてみたの。そして思ったわ。人間は妖に本当に勝てるのかって……」
イヅナがそう言うと、「勝てるさ!」とケフェウスが自信ありげに言う。そして懐から改造された銃を取り出し、イヅナに見せる。
「これは、ゴブリンたちが落としたりしたものを集めて作った特別な銃さ。みんなの分も用意してある。これさえあれば、どんな妖も倒せるよ!」