あやかし戦記 ネバーランドの子どもたち
「この計画には何の狂いもない。今すぐ脱獄を決行したいくらいだ」

マチルダが胸を張り、カレンがその横でコクコクと頷いている。この脱獄のために、武器を作り、計画を立て、長い時間をかけてきたのだろう。しかし、妖との戦い方はアレス騎士団でないと学ぶことはできない。

「私は脱獄することに反対しているわ」

イヅナがそう言うと、三人の表情が一気に変わる。そして、「どうして」と詰め寄られ、イヅナは口を開く。

「妖は、人とは違うの。人は心臓を刺したり、首を絞めたりすれば簡単に死ぬ。急所だらけよ。でも妖は違うの。簡単には死なないし、傷をつけても秒で元に戻ってしまう。無理に逃げようとすれば、誰かが傷付いたり、全滅しかねない」

「は?あんな化け物なんて、誰も相手にしたことないだろ」

「そうだ!やる前からできないって決めつけるのはおかしい!」

マチルダとケフェウスの声に怒りが混じる。それでも、努力ではどうしようもならないことだってあるのだ。
< 36 / 45 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop