あやかし戦記 ネバーランドの子どもたち
イヅナたちアレス騎士団が連絡などに使う式神は、普通の人間には見ることができない。だが、妖などには見えてしまうのだ。妖の檻の中にいる今、そんなことをするのは自殺行為である。

「まあ、こればかりは仕方がない。ガキ共の動きをよく見てーーー」

ツヤが今後の作戦を話そうとしたその時、部屋を照らしていた電気が一瞬にして消える。廊下も暗くなっているため、どうやらこの部屋だけでなく農園全体が停電しているようだ。

「えっ、何ですか?これ」

「シッ!」

突然のことにイヅナは混乱するも、口にツヤの指を押し当てられ、口を閉じる。バタバタとゴブリンたちが廊下を走る音が聞こえてきた。

刹那、ビーっと巨大な警報音が鳴り響く。どこからか「脱獄!脱獄!」と機械的な声がする。カレンたちが脱獄を決行したのだ。

「でも、今日は誰も出荷されないんじゃ……」

カレンたちの計画を思い出し、イヅナが呟くと「余計なことをしやがったな」とツヤが舌打ちをする。
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