あやかし戦記 ネバーランドの子どもたち
「恐らく、イヅナが脱獄計画に加わらなかったからじゃないのか?自分たちの計画を話されて、出荷される前に行動に移したんだろ」

そう言い、ツヤが実験室の奥から箱を持ってくる。その中にはしばらく着ていないアレス騎士団の制服があった。

「ガキ共を守るためにも戦え。近くに待機させている応援はすぐに来るだろうから心配するな」

「はい……!」

着物とミニ丈の袴、そしてアレス騎士団である証のバッジをつけると、護られる側ではなく、護る側の人間なのだという思いが込み上げる。どんなに恐ろしい妖が相手であっても、アレス騎士団の団員である以上、立ち向かう。イヅナはフウッと大きく息を吐き、薙刀を手に持った。

「準備はいいか?」

式神を飛ばした後、制服に着替えたツヤがニヤリと笑う。イヅナはコクリと頷き、騒がしい廊下へとツヤと共に飛び出した。

一歩踏み出しただけで、いつもとは全く違う世界に来たような感覚が走る。窓ガラスは破壊され、廊下は書類や割れた花瓶などで散らかっていた。
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