籠の中の鳥は今宵も熱い寵愛を受ける【完結】
 わかりました、とだけ言って私はある程度の挨拶が済んでから部屋に行く。

予約してある部屋はスイートルームだった。

 和穂さんならば確かにそうか、と思いながら一人では広すぎて寂しく感じた。
広いガラス窓からは絶景が広がる。窓際に行き、上質な革を使用してある椅子に腰かける。

大して歩いていないのに高いヒールのせいでどっと足が疲れている。
足だけではない、精神的にも疲れた。
結婚すればこのような機会は多いのだろう。

 だけど、彼のためならば頑張ろうと思える。きっと、これが恋をするという事であり。夫婦になるということだ。

ウトウトしていると、誰かの気配ではっと目を覚ました。
ちょうど夢と現実の狭間にいた。

「あれ、寝ていなかったの?」
「あ、ちょっとうたた寝していて」
「それは良くない。お風呂に入ってからベッドで寝ないと」
「はい。あのお話がしたいのですがいいですか」


 背広を脱ぎ、それらを隣の寝室にある部屋のクローゼットにかけている彼に言った。
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