籠の中の鳥は今宵も熱い寵愛を受ける【完結】
「…え?」
時が止まったように私は微動だにしない。彼も同様だった。
―まだ、好き
それはどういう意味なの?孝太郎は完全に私を振ったではないか。
藤沢千佳のことは認めなかったけれど、それでも私との別れを選んだのは彼自身だ。
あの時浮気を認めたとしても謝罪をして私と離れたくないと言ってくれたら―…。
許せていたのに。
たらればを考えてもしょうがないのはわかっている。でも、今彼が発した言葉はどうして?と繰り返して問いたいほどに辛いものだ。
「何言ってるの。私結婚するの。それに孝太郎は…藤沢千佳さんがいるじゃない」
「彼女とは何もない。最初から言っている通り何もないんだ」
孝太郎が私の肩を掴み大きく揺らした。
彼は普段から温厚で声を荒げるところなどほぼ見たことがなかった。そういうところを好きになって愛して、結婚の約束をしたのだ。
それなのに…―。
「ごめん、意味が分からない。じゃあ何故振ったの?」
「…それは、」
会社内で私情を挟むような会話をしたくはない。それに誰かが見ていたらまた変な噂が流れる可能性だってある。早くこの場から去りたかったが孝太郎が私を阻むようにして立っている。
確かに彼は以前に比べて少し瘦せている。藤沢千佳に振られて憔悴している?であれば彼女に復縁を迫るはずだし彼は藤沢千佳と付き合っていないと言っている。一体だれが本当のことを話しているのだろう。
時が止まったように私は微動だにしない。彼も同様だった。
―まだ、好き
それはどういう意味なの?孝太郎は完全に私を振ったではないか。
藤沢千佳のことは認めなかったけれど、それでも私との別れを選んだのは彼自身だ。
あの時浮気を認めたとしても謝罪をして私と離れたくないと言ってくれたら―…。
許せていたのに。
たらればを考えてもしょうがないのはわかっている。でも、今彼が発した言葉はどうして?と繰り返して問いたいほどに辛いものだ。
「何言ってるの。私結婚するの。それに孝太郎は…藤沢千佳さんがいるじゃない」
「彼女とは何もない。最初から言っている通り何もないんだ」
孝太郎が私の肩を掴み大きく揺らした。
彼は普段から温厚で声を荒げるところなどほぼ見たことがなかった。そういうところを好きになって愛して、結婚の約束をしたのだ。
それなのに…―。
「ごめん、意味が分からない。じゃあ何故振ったの?」
「…それは、」
会社内で私情を挟むような会話をしたくはない。それに誰かが見ていたらまた変な噂が流れる可能性だってある。早くこの場から去りたかったが孝太郎が私を阻むようにして立っている。
確かに彼は以前に比べて少し瘦せている。藤沢千佳に振られて憔悴している?であれば彼女に復縁を迫るはずだし彼は藤沢千佳と付き合っていないと言っている。一体だれが本当のことを話しているのだろう。