籠の中の鳥は今宵も熱い寵愛を受ける【完結】
「どうした…―」
孝太郎の後ろから聞きなれた声がした。
孝太郎と私の視線が後方へ移る。そこに立っていたのは和穂さんだった。
怒気を孕んだ目をこちらへ向ける。いや、私ではなく孝太郎しか見ていない。
孝太郎は何も言わずに下唇を噛んで去っていった。しかし去り際に
「来週、時間が欲しい。連絡する」
そう言い残していった。
和穂さんは孝太郎が去るのを確認するとすぐに私のもとに駆け寄る。
「どうしたんだ」
「あ、いえ…なんか変なことを言っていて」
「変なこと?」
「その…藤沢千佳さんとは付き合っていないとか、そう言った話をされて」
「…なるほど」
彼の鋭い眼光で見つめられるとゾクッと背中が粟立つ。
まだ好きだと言われたことは伏せた。それに応えるつもりもないし、和穂さんに心配を掛けたくなかったというのが一番の理由だ。
それにしても、どうして孝太郎は…―。
「仕事はまだかかりそう?」
「ええ、少し。和穂さんは先に帰宅していてください。遅くなるかもしれませんので夕食はどこかで食べてきてもいいです」
「いいよ、今日は俺が作って待ってるから。何か食べたいものは?」
「え!?和穂さん料理できるのですか?」
「それなりにはできると思うけど。苦手なものはないから」
サラッと驚きの発言をした彼に心の底から同じ人間とは思えないと思った。
孝太郎の後ろから聞きなれた声がした。
孝太郎と私の視線が後方へ移る。そこに立っていたのは和穂さんだった。
怒気を孕んだ目をこちらへ向ける。いや、私ではなく孝太郎しか見ていない。
孝太郎は何も言わずに下唇を噛んで去っていった。しかし去り際に
「来週、時間が欲しい。連絡する」
そう言い残していった。
和穂さんは孝太郎が去るのを確認するとすぐに私のもとに駆け寄る。
「どうしたんだ」
「あ、いえ…なんか変なことを言っていて」
「変なこと?」
「その…藤沢千佳さんとは付き合っていないとか、そう言った話をされて」
「…なるほど」
彼の鋭い眼光で見つめられるとゾクッと背中が粟立つ。
まだ好きだと言われたことは伏せた。それに応えるつもりもないし、和穂さんに心配を掛けたくなかったというのが一番の理由だ。
それにしても、どうして孝太郎は…―。
「仕事はまだかかりそう?」
「ええ、少し。和穂さんは先に帰宅していてください。遅くなるかもしれませんので夕食はどこかで食べてきてもいいです」
「いいよ、今日は俺が作って待ってるから。何か食べたいものは?」
「え!?和穂さん料理できるのですか?」
「それなりにはできると思うけど。苦手なものはないから」
サラッと驚きの発言をした彼に心の底から同じ人間とは思えないと思った。