籠の中の鳥は今宵も熱い寵愛を受ける【完結】
「じゃあ…そうですね、ハンバーグ…とか」
「ハンバーグ?分かった。作っておくよ」
「ありがとうございます」

 藤沢千佳の件も孝太郎の件もモヤモヤしたものを抱えながら、とりあえず仕事に戻った。

…―…


 20時過ぎに会社を出た。


スマートフォンのディスプレイには和穂さんからメッセージが入っている。

“夕食作ったよ”

 簡素な文だったが、自然に頬が綻ぶ。家に誰かが待っている、それだけで十分に幸せだった。


「ただいま…」

 マンションに帰宅すると、ダイニングテーブルの上に並べられた煮込みハンバーグにポテトサラダなど男性が短時間で作ったとは思えないクオリティの料理が目に入る。

「凄い!和穂さん料理上手なんですね」
「まだ食べていないだろ?」
「いやいや、食べなくても見た目がクオリティ高いのですぐに分かります」
「着替えておいで。一緒に食べよう」
「はい」
< 127 / 154 >

この作品をシェア

pagetop