籠の中の鳥は今宵も熱い寵愛を受ける【完結】
今日はセミロングの髪を丁寧にポニーテールにしており、頷く度にそれが揺れてかわいらしい。ポニーテールにすると丸顔ということもあってか年齢よりも幼く見える。
普段は佇まいや喋り方で落ち着いているように見えるが、ふとした瞬間に幼い表情を見せる。
それすら独占したいと思う俺はどうかしてしまったのか。
「うん、美味しいね」
「ふふ」
はすみが照れたように笑い、それを土浦が死んだ魚のような目で見るというなんともカオスな状況だ。
俺たちに注がれた他の社員たちの中に不穏な視線を向ける社員が一人いたことは誰も知らなかった。
――…
…
「どうして今日お昼休みに社食に来たんですか?」
「ん?ダメだった?何度も言うように君たちを見たからだよ」
「どうして私と土浦さんを見たら社員食堂までついてくるんですか?」
怪訝そうな顔は俺を責め立てるように主張してくる。
帰宅後夕食を食べ終えて普段通り二人でのんびりした時間を過ごしているのに彼女は今日のことが不服だったようでその話題から離れない。
「別にいいだろ?」
「いいですけど…凄い他の社員が見てましたよ?和穂さんのこと」
「ふぅん、君は見ていなかったようだけど」
「そんなことないです!見てます!いつも…」
語尾が小さくなっているのは自信がない証拠だろう。