籠の中の鳥は今宵も熱い寵愛を受ける【完結】
「君は階が違うんじゃないのかな」
「そうなんですけど、もう少し常盤さんと話したくて」
しっかりとアイラインの引かれた二重が俺を見上げる。
「悪いけど、業務で何かあれば秘書課を通してくれるかな。プライベートでは君とはかかわらないから」
「え~どうしてですか。ショックです」
その間も俺の足は止まらずに専務室を目指している。
最近やけに専務室の周りでウロチョロしている理由がわかってきた。彼女ははすみの婚約者を奪っておきながら今度は俺に乗り換えようとしているのだろう。
これは推測ではなく確定に近い。
専務室の前に足先を向け入ろうとドアノブに手を掛けたとき、藤沢千佳がよろけた。
それがわざとなのかそうではないのか一瞬だったから分からなかったが、俺の体に密着するような体勢になった。
すぐに彼女から離れ、念のため「大丈夫かな」と声を掛ける。
が、ふと視線を感じ顔を上げると
「はすみ、」
はすみが目を丸くして俺たちの方を見ていた。
彼女の顔がみるみるうちに青ざめていく。そしてそれが歪みに変わっていくのも時間はかからなかった。
はすみはすぐに踵を返してフロアに戻っていく。
追いかけようとすると、
「専務、電話が入っています」
土浦が駆け足で近づきそう言った。
藤沢千佳は「ではまた」と言ってエレベーターの方向に戻っていく。
俺は一度専務室に戻ることにした。
「そうなんですけど、もう少し常盤さんと話したくて」
しっかりとアイラインの引かれた二重が俺を見上げる。
「悪いけど、業務で何かあれば秘書課を通してくれるかな。プライベートでは君とはかかわらないから」
「え~どうしてですか。ショックです」
その間も俺の足は止まらずに専務室を目指している。
最近やけに専務室の周りでウロチョロしている理由がわかってきた。彼女ははすみの婚約者を奪っておきながら今度は俺に乗り換えようとしているのだろう。
これは推測ではなく確定に近い。
専務室の前に足先を向け入ろうとドアノブに手を掛けたとき、藤沢千佳がよろけた。
それがわざとなのかそうではないのか一瞬だったから分からなかったが、俺の体に密着するような体勢になった。
すぐに彼女から離れ、念のため「大丈夫かな」と声を掛ける。
が、ふと視線を感じ顔を上げると
「はすみ、」
はすみが目を丸くして俺たちの方を見ていた。
彼女の顔がみるみるうちに青ざめていく。そしてそれが歪みに変わっていくのも時間はかからなかった。
はすみはすぐに踵を返してフロアに戻っていく。
追いかけようとすると、
「専務、電話が入っています」
土浦が駆け足で近づきそう言った。
藤沢千佳は「ではまた」と言ってエレベーターの方向に戻っていく。
俺は一度専務室に戻ることにした。