籠の中の鳥は今宵も熱い寵愛を受ける【完結】
心苦しいが着信拒否もしている。嫌いで別れたわけではないが、良い別れ方をしていないから連絡はしない方がいいと思っているからだ。
定時を過ぎてもまだ終わる気配がない。すると少し席を外していた土浦さんが戻ってきて
「常盤専務呼んでいたよ」
「え、?」
「何か用があるらしい。プライベートの件なのか仕事の件なのかは不明だけど」
「…わかりました」
土浦さんに促されて私は席を立った。隣の専務室にノックをして入る。
「失礼します、」
「まだ仕事は終わらない?」
「はい」
短い返事なのは出来る限り彼との会話を避けたいという表れだ。
今日帰ったら何か話があると思うと憂鬱で、忙しいのは困るが業務をやっていた方が精神的な安定は保てる。
「あの用というのは、」
「今朝の件なんだけど…」
と、タイミング悪く和穂さんのデスク上の電話が鳴った。
それを見て失礼しますと頭を下げて専務室を出た。逃げちゃいけないと思うのにどうしても足が竦む。
出来ることならば、マンションに帰りたくないという思いもある。
定時を過ぎてもまだ終わる気配がない。すると少し席を外していた土浦さんが戻ってきて
「常盤専務呼んでいたよ」
「え、?」
「何か用があるらしい。プライベートの件なのか仕事の件なのかは不明だけど」
「…わかりました」
土浦さんに促されて私は席を立った。隣の専務室にノックをして入る。
「失礼します、」
「まだ仕事は終わらない?」
「はい」
短い返事なのは出来る限り彼との会話を避けたいという表れだ。
今日帰ったら何か話があると思うと憂鬱で、忙しいのは困るが業務をやっていた方が精神的な安定は保てる。
「あの用というのは、」
「今朝の件なんだけど…」
と、タイミング悪く和穂さんのデスク上の電話が鳴った。
それを見て失礼しますと頭を下げて専務室を出た。逃げちゃいけないと思うのにどうしても足が竦む。
出来ることならば、マンションに帰りたくないという思いもある。