籠の中の鳥は今宵も熱い寵愛を受ける【完結】
「で、何の話?」
「ごめん。謝りたくて…」
「謝る?何を?ロンドンの件ならもういいよ。藤沢千佳の方が良かったってことだもんね」
「違うんだ、何度も言ってるけど藤沢千佳さんとは付き合っていない。連絡先の交換をせがまれて交換したら毎日のように連絡が来るようになった。それに関してはほぼ返してない。むしろ迷惑だって伝えてる」
「…え?どういう、こと…」
頭が真っ白になった。私は混乱しながら孝太郎に問いかける。
「意味が分からない。その証拠は?」
「証拠なら携帯みてほしい」
そう言って孝太郎は私の前にスマートフォンを置く。
そこには藤沢千佳とのメッセージのやり取りが表示されている。スマートフォンのディスプレイを指で操作しながら、彼と彼女のやり取りを見る。
見たくないという感情の方が大きかった。しかし震える指でスクロールし真実を知ろうと思った。
“今度ご飯行きませんか?”
“ごめん、いけない。彼女がいるから”
“じゃーん☆これ、この間買ったんです。どうですか?”
「…え、」
基本孝太郎はほぼ彼女に返事をしていなかった。そして返事が返ってこなくても、千佳は日常のことや購入した服を着た自撮りなどを孝太郎に送信していた。