籠の中の鳥は今宵も熱い寵愛を受ける【完結】
和穂さんの熱い言葉に涙ぐんでいた。なんだ、私はこんなにも彼に愛されている。
この人と共に一生過ごしていきたい。
たとえ喧嘩をしても、困難が待ち受けていても、彼とならば乗り越えられると確信した。
「だから、渡せない」
「…」
孝太郎はがくっと頭を下げて項垂れていた。
そして
「はすみ、本当にごめん。もっと俺に勇気があれば…―」
「ううん、孝太郎のこと信じきれなくてごめんね。孝太郎も幸せになってほしい」
最後にお互い思いを伝えた。少しばかり彼の表情が和らいだのを見た。
孝太郎はそのまま会議室を出ていく。
私はようやく解かれた拘束によって彼の方に体を向け見上げた。
「どうして来たんですか」
「はすみが見当たらないから土浦に聞いたら会議室取って成瀬君と一緒に入っていったっていうからそりゃ心配になるよ」
「ふふ、心配するんですね」
「当たり前だよ。君はすぐに逃げそうだからね」
「逃げませんよ」
どうかな?と言って私のことをふわり抱きしめるとそのまま顔を近づけキスをした。
私の両親が裏で手を回していたことは許せないが、確かに両親からすればそれくらいの覚悟があるのか試しかったという気持ちはわからないでもなかった。
「家に帰ってからの話というのは?」
「今朝のことだよ。藤沢千佳。彼女はどうやら俺を落とそうとしているようだ」
「…分かっていたんですか」
「当たり前だよ。それくらい気が付く」
「…なんだ」