籠の中の鳥は今宵も熱い寵愛を受ける【完結】
♢♢♢
「俺と結婚してくれませんか」
「もちろんです」
和穂さんの行きつけである高級レストランにて、プロポーズを受けた。
目の前には大きすぎるほどのダイヤが輝く指輪がある。四角い濃紺の箱からそれを取り出し私の指にすっと通してくれた。
ドキドキしながらそれを眺めるといよいよ夫婦になるのだという実感が湧く。
「よかった、改めてプロポーズをして断られたらどうしようかと思ったよ」
「断ると思いますか?」
「君は一度は逃げているからね。早く結婚して正式に妻として囲いたい」
「ふふ、大丈夫ですよ、だって私は心底和穂さんに惚れてます」
「…なんだか君が小悪魔に見えてくるのだけど、それも計算?」
「何がですか?」
「駆け引きが上手いなぁ」
今週、和穂さんと一緒に役所に婚姻届けを提出する。
大好きな彼と夫婦になれることが何よりも楽しみで、何よりも幸せだ。
「そうだ、聞きたかったことがあるんだけど」
「何ですか?」
「俺は君にとって運命の相手になれた?」
私は真っ直ぐに彼を見据えた。
運命の相手がいると信じていた。しかし彼と出会い、考えが変わった。
彼が言うように運命の相手などいないのかもしれない。
そんな相手などこの世にいないのかもしれない。
だけど…―。
「運命の相手かどうかは分かりませんが、運命の相手にしたい相手なんです、和穂さんと一緒に生きていきたい」
「それは同意見だよ、俺も君を運命の相手にしたいと思ってるし、そうなるよう努力する」
彼がグラスを傾けてくる。
再度、誓いの乾杯をした。
「愛してるよ、はすみ」
甘ったるい言葉を添えて。
END
「俺と結婚してくれませんか」
「もちろんです」
和穂さんの行きつけである高級レストランにて、プロポーズを受けた。
目の前には大きすぎるほどのダイヤが輝く指輪がある。四角い濃紺の箱からそれを取り出し私の指にすっと通してくれた。
ドキドキしながらそれを眺めるといよいよ夫婦になるのだという実感が湧く。
「よかった、改めてプロポーズをして断られたらどうしようかと思ったよ」
「断ると思いますか?」
「君は一度は逃げているからね。早く結婚して正式に妻として囲いたい」
「ふふ、大丈夫ですよ、だって私は心底和穂さんに惚れてます」
「…なんだか君が小悪魔に見えてくるのだけど、それも計算?」
「何がですか?」
「駆け引きが上手いなぁ」
今週、和穂さんと一緒に役所に婚姻届けを提出する。
大好きな彼と夫婦になれることが何よりも楽しみで、何よりも幸せだ。
「そうだ、聞きたかったことがあるんだけど」
「何ですか?」
「俺は君にとって運命の相手になれた?」
私は真っ直ぐに彼を見据えた。
運命の相手がいると信じていた。しかし彼と出会い、考えが変わった。
彼が言うように運命の相手などいないのかもしれない。
そんな相手などこの世にいないのかもしれない。
だけど…―。
「運命の相手かどうかは分かりませんが、運命の相手にしたい相手なんです、和穂さんと一緒に生きていきたい」
「それは同意見だよ、俺も君を運命の相手にしたいと思ってるし、そうなるよう努力する」
彼がグラスを傾けてくる。
再度、誓いの乾杯をした。
「愛してるよ、はすみ」
甘ったるい言葉を添えて。
END