籠の中の鳥は今宵も熱い寵愛を受ける【完結】
ゆっくりと振り返り泣きそうな顔を見せると彼はハッとして私のもとへ小走りで駆け寄ると
「見たのか?」
と、訝しげに訊いた。すぐにテーブルの上に置かれたスマートフォンを手にした。
「見たんじゃない。見えたの。どういうこと?」
「そっか…―」
否定も肯定もない。ただ息を吐くようにして向けられたセリフに心臓が掴まれたように痛む。
涙を浮かべながらもそれを溢すまいと必死に下唇を噛んだのは、意地なのかもしれない。
「…事実なの?浮気してるの?」
「…浮気はしてない。でも…俺たちもう別れた方がいいのかもしれない」
言い訳も謝罪も何一つ孝太郎の口からは出てこない。
泣いて別れたくないとか、違うんだとか、そう言った罪悪感にまみれた言葉を聞けたらまだ許せたのかもしれない。しかしそれらはいつまで経っても出てこない。
「見たのか?」
と、訝しげに訊いた。すぐにテーブルの上に置かれたスマートフォンを手にした。
「見たんじゃない。見えたの。どういうこと?」
「そっか…―」
否定も肯定もない。ただ息を吐くようにして向けられたセリフに心臓が掴まれたように痛む。
涙を浮かべながらもそれを溢すまいと必死に下唇を噛んだのは、意地なのかもしれない。
「…事実なの?浮気してるの?」
「…浮気はしてない。でも…俺たちもう別れた方がいいのかもしれない」
言い訳も謝罪も何一つ孝太郎の口からは出てこない。
泣いて別れたくないとか、違うんだとか、そう言った罪悪感にまみれた言葉を聞けたらまだ許せたのかもしれない。しかしそれらはいつまで経っても出てこない。