籠の中の鳥は今宵も熱い寵愛を受ける【完結】
「ていうかさ、家…大丈夫そう?」
「あぁ、うん…勘違いもあって想定外の状態ではあるけど全然問題ない」
夏子にはサラッとしか今の状況を説明していなかった。小声で勘違いから同居している男性がいることを伝えた。しかし昨日親に久しぶりに会い、縁談の話があったことも伝えると夏子は周りを気にせずに吃驚した。
「ええ?!何それ、どういうこと?」
「絶縁状態の親が入院したって聞いて行ったの。そうしたら前回断った見合い相手が再度実家に縁談を持ち掛けて来たらしくて。さすがに断れないから」
「じゃあ…政略結婚?」
「…うん」
「何よそれ。元カレは?もう忘れたの?」
「流石にすぐに吹っ切れたわけではないけどもう大丈夫。好きじゃないよ、あんなふうに振られたらね」
「だよね。はぁ…政略結婚に謎の男との同居に、もしかしたら来月異動?」
「ふふ、本当にジェットコースターみたい」
ちょうど会議が始まる時間だったこともありこの話はここで終わった。
今朝も和穂さんはマンションに帰宅している素振りはなく、男女の同居ならば相当の信頼がないと成り立たないように思えるが彼は信頼できると思う。