籠の中の鳥は今宵も熱い寵愛を受ける【完結】
「はすみ、」
「…抱いてください。和穂さんなら、嫌じゃない」
「それは本心?体が緊張しているせいで棒のようにカチカチなんだけど」
「ほ、本心です!別に緊張はしていないし…それに…―」
ふっと息が漏れたのを聞いた刹那、私の唇は塞がれていた。
優しいキスではなく、私を求めているのだとハッキリわかるほどに深いキスをする。
舌が私の口内を犯していく。歯列に沿うようにして舌が這う。
「…っ…はぁ、…ぅ、」
容赦ないキスのせいで目尻に涙が浮かぶ。
和穂さんの手がキスとは対照的に優しく私の頭を撫でる。漏れ出る吐息が徐々に激しくなる。
キスってこんなにも気持ちいいものなのだろうかと素直に疑問が浮かぶ。
彼と関わってから脳内は常に疑問符だらけだ。
ミステリアスな彼は常に私を翻弄する。
角度を変え繰り返されるキスがやまない状態で今度はすっと私の首筋に触れた。
全身が性感帯になってしまったようだと強く思った。
そのままパジャマのボタンを外していく。
彼の指が胸に移動した。外気に触れた肌は敏感にそれを感じ取る。
「っ…ん!」
ようやく唇が離れたと思ったのにすぐに彼の顔が首元に埋まった。
政略結婚を認めたわけだし、彼は既に婚姻届けに記入済みだ。つまりどう足掻いたところで、私はこの人と結婚するのだから体の関係は想定していた。だけど、それはあくまでも事務的で子供を作るためとかそういった目的に沿ってだと思っていた。だからこそ、彼の私を求めるような行為に戸惑っていた。
「…ぁ、…はぁ、っ」
彼の舌が胸の頂点に移る。片手は私の内ももを撫で全身が粟立つ。