籠の中の鳥は今宵も熱い寵愛を受ける【完結】

「今の女性誰?」
「あー、総務の子です。前は同じフロアでそれなりに顔を合わせていて」
「そうなんだ。で、結婚するんだ?」
「…まぁ、はい」
「それって結婚後に会社に報告するの?」
「そのつもりです。前に痛い目見てるんで、婚約時点での報告して…がっつり振られちゃったんで」
「ふぅん」

 気だるげな返事が返ってきて絶対に今の話興味なかっただろうと思いながら食堂に向かった。

土浦さんのプライベートについては何も知らないからこれはいい機会だと思い食券を購入して二人で長テーブルの上にお盆を置いたタイミングで聞いた。

「そういえば、土浦さんって独身ですか?」
「独身だね。結婚はする気ない」
「あぁ、何となくそういうタイプかなって思いました」
「それ貶してる?」
「全然!」

 見た目通りの回答を受けて思わず吹き出しそうになったのを堪える。

一緒にいただきます、と言って食べ始める。

どうやら土浦さんは彼女もいないようで、それなりにモテそうなのに結婚する気はないという発言からも本気で誰かと付き合うことをしなさそうだ。

 最近はそういう若い男性は多い。何というのだろう、草食系というのだろうか。
土浦さんと会話をしていると、どうしてか和穂さんのことを思い出す。彼は真逆でグイグイ来るタイプだ。
彼は一体どんな人がタイプでどういう恋愛をしてきたのだろう。
彼が好きだと囁けば、たいていの女は落ちるだろう。
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