籠の中の鳥は今宵も熱い寵愛を受ける【完結】
私も好きですと言うタイミングを逃したせいで想定外の展開になってしまった。
別に婚約破棄をするつもりはないし二度も逃げることはしない。
だいたい今は上司である彼から逃げられるわけがない。
心を読まれていると思っていたが、私の好きという感情までは見透かせなかったようだ。
「そうだ、君に話すのを忘れていたんだが今週の土曜日常盤家主催のパーティーがある」
「え?!」
「まだ結婚していない段階とはいえ既に婚約まではしているから君も出席してほしい」
「それは…急です!ワンピースは…あったとは思うけど、えっと…」
「当日の衣装なら大丈夫、こっちで全部用意する」
「わかりました…」
常盤家主催とはいえ、普段仲良くしている企業とのちょっとしたパーティーということで「そんなに緊張する場ではない」と彼が言っていたが
和穂さんの妻になるのだから、粗相などあってはいけない。