珈琲と花の香りの君



「もう。また2人とも、揉めてるの?」



ようやく帰ってきてくれた、清水と珠利ちゃん。



清水が苦笑しながら、俺らを眺めて言った。



「だって、紅湖。及川が珠利と旅行に行きたいなんて、言い出すんだよ。」


ここぞとばかりに援軍をつけたいだろう柳井は、清水に詰め寄っている。



心なしか、柳井が清水に話し掛ける時は、甘い響きが混ざっているように聞こえて。



他人の前でも、こんなにあからさまに自分をさらけ出せるなんて。



なんだか少し、羨ましくなったりした。
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