珈琲と花の香りの君



2人とも言葉を無くした。



色とりどりの魚の群れに呑まれたみたいだ。



トンネル型にアーチを描いている水槽の中にいた。



床以外は水に囲まれていて、幻想的だった。



俺たちの他に客は居なくてまるで、海の中に取り残されてしまったみたいだ。



でも例え、海の底でも地球の裏でも俺は君さえ居てくれれば、それだけで生きていけるんだよ?



そっと珠利ちゃんの横顔を盗み見れば、



暗い照明に、ふんわり頬が光って見えて、



綺麗だ。呟いていた。
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