珈琲と花の香りの君



柳井家のインターフォンを押すと、ぱたぱたとスリッパの音がして、



内側から開いてくるドアの隙間から、思い出の香りがした。



当時、高校生だった俺は、偶然に店で同じ香りを見つけたのだ。



ピンクの可愛らしい小瓶に、ピンク色の液体が入っていた。



そっと手にとって、空間に向けて、ワンプッシュしてみた。



一瞬、目の前に清水の顔が浮かんだ。



そんな過去のことを急に想い出すなんて。



どうしたんだろう…?
< 158 / 223 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop