珈琲と花の香りの君
柳井家のインターフォンを押すと、ぱたぱたとスリッパの音がして、
内側から開いてくるドアの隙間から、思い出の香りがした。
当時、高校生だった俺は、偶然に店で同じ香りを見つけたのだ。
ピンクの可愛らしい小瓶に、ピンク色の液体が入っていた。
そっと手にとって、空間に向けて、ワンプッシュしてみた。
一瞬、目の前に清水の顔が浮かんだ。
そんな過去のことを急に想い出すなんて。
どうしたんだろう…?