珈琲と花の香りの君
「…!ちょ…ちょ、待ってっ!!珠利ちゃん?!」
がばっと俺に抱きついた珠利ちゃん。
固まる俺。
狭い玄関。密着する体。珠利ちゃんに触れている腕や胸が熱を持ったように熱い。
「…たかさん…、あたし、たかさんとだったら大丈夫。…あっためて…くれる…?」
伏し目がちだった珠利ちゃんの両瞳は、しっかり俺を見つめてくれている。
「…いい…の…?」
掠れて少し震えた自分の声にびっくりして。
大きく頷いてくれた珠利ちゃんを、頭の中に焼き付けた。
――この夜の甘い時間は、俺と珠利ちゃん2人だけの秘密だ。