珈琲と花の香りの君



「…あ、の…、」



それ以来言葉を発しなくなった俺に、



「どうしたんだ?早くしてくれないか。紅湖が待っているんだ。」



イラつく奴の声が携帯の向こうから聞こえた。



「…なんか、変なものでも食いました?」




「……。」



一瞬の間ののち、



「ふざけるんじゃないよ。まったく。」



呟かれた声と共に…



「…がちゃ切りかよ…」


俺の耳に届いてきたのは、一方的に切られた電話の音だ。
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