珈琲と花の香りの君
「…まさか君に、僕がプロポーズされるなんてね。僕にはそういう趣味はないんだよ。」
なんて、言い出した奴。
「…ちっがいますよ!!俺は珠利ちゃんに…」
「まさか、電話でプロポーズなんてしようとしたんじゃ、ないだろうねぇ?」
「……。」
奴の嫌味に、返す術を知らない俺。
「一世一代のプロポーズくらい、ちゃんと相手の目を見て言うべきだろう?」
電話の向こうでは、思いもかけないほど、穏やかな奴の声がした。